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第2回ベトナム
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破水
赤ちゃんは卵膜という薄い膜でできた袋の中の羊水に浮かんでいる。この卵膜が破れて中の羊水が出てくるのが破水。羊水は当然体温と同じ温度になっているので、流れ出てくるとあったか〜いのである。
お産の多くは陣痛から始まり、胎児が子宮口に下がってきてから破水というパターンになるようだが、破水から始まってもその後陣痛が始まれば、お産の進行には全く問題はない。
ただ、破水には明らかにそれとわかるものや、針であけたような小さな穴から少しずつ出てくるようなものなどいろいろな形があり、破水をすると胎児に細菌感染(後述)の恐れがあるので、少しでも疑いがあったら病院に連絡しよう。
私の場合は、陣痛だかただのハライタだかわからなくて病院に電話するの迷うなーっていうんじゃなくてドバッと景気よく始まったからわかりやすかったぞ。

緊急連絡先一覧
電話番号一覧は早めに作っておこう。
入院する時に連絡するところ、生まれたら連絡するところなどをまとめて何枚かコピーして、家の電話のそばに置いたり、家族で持ったり、入院用の荷物の中にいれておくとよい。
そんなの携帯のメモリーがあるから大丈夫? 病院の中では携帯の電源いれちゃダメだよ。

病院に電話する時に伝えなければならないことリスト
“伝えなければならないこと”は病院によっても異なるだろうが、こんなリストはないぞ、という方のために内容をお教えしておこう。
1.名前・年齢
2.診察券の番号
3.初産か経産婦か
4.出産予定日
5.陣痛の感覚と発作
6.出血、破水の有無
7.病院までの所要時間
8.妊娠中の異常の有無、胎児の位置の異常、妊娠中毒症、感染症の有無、その他
もちろん自分で全部棒読みする必要はないわけで、聞かれたら答えればよいのだが、こんなことを聞かれるかもしれない、と思っておけば慌てないよ。

状況を尋ねられた
私の行った病院では、電話をする時の目安として初産の場合、陣痛の痛みが7〜10分間隔で30〜40秒お腹の張っている(硬くなって痛い状態)時、となっている。
これって陣痛かなーと悩むくらいの時はまだ本当の陣痛ではないそうで、せっかく電話をしてももう少し様子を見てといわれることもあるらしい。
“ドバッと破水”の場合はもちろん病院へ直行のケースである。

おしるし
お産が近くなり、子宮が開くと卵膜が子宮の壁から少しずつずれて、そこからにじみ出た血液と子宮の出口の分泌物が混ざったものが出てくることがありこれを“しるし(おしるし)”という。
全ての人にあるわけではなく、また“おしるしイコールすぐ出産”となるわけではないので、お産が近くなったサイン、くらいに考えておいたほうがいいようだ。

シャワーなど浴びない
お産が陣痛から始まった場合は、まだ陣痛の間隔が遠ければお風呂に入ってリラックスしたり、入院に備えてシャワーを浴びるのもいいだろう。しかし、破水した場合はお風呂やシャワーは絶対禁止。
なぜなら、胎児を守っていてくれた卵膜に穴があいているのだからそれまで無菌状態にいた胎児が細菌に攻撃される危険性が出てきたということだ。産道を伝って雑菌が入り込んでくるような行為は極力避けなければならない。
病院へ着いたら抗生物質を飲んで感染予防をする。

バスタオルを敷いて
景気のいい破水の場合、羊水がとにかくどんどん流れ出てくるのでタクシーなどに乗るときはシートを汚さないように必ずバスタオルを敷こう。せっかくの(?)お産が運転手さんの激怒で幕開きなんてことになったらトホホである。
ちなみに羊水は1時間に500mlの割合で新たに作られているそうで、羊水がカラになって赤ちゃんが干からびるなんてことはないらしい。よかった。

分娩予備室
病院に着いたからといってすぐに分娩室に担ぎ込まれるワケではない。分娩室に入るのは子宮口が全開になって、まさに産まれるー!といった状態になったときでそれまでは分娩予備室で過ごす。数時間に及ぶ陣痛との戦いはここで行われる。

陣痛
出産が近づき、規則的に子宮が収縮しはじめるのが陣痛。
収縮によって子宮口が開いてきて、赤ちゃんが下りてくるというメカニズムらしい。私は陣痛で赤ちゃんを絞りだすんだと思ってたよ。
陣痛の痛み方は人それぞれのよう。私の母は、破水して病院に行って、ものすごく腰が痛ーい!と思っていたらポコッと産まれたという羨ましいタイプ。

助産婦さん
実は助産婦さんと看護婦さんの区別は全くつかなかった。分娩周りのことは全部助産婦さんがやってくれると思っていたので、ここでは全て“助産婦さん”と記述したが実際は看護婦さんもいたのかもしれない。
ただ、いずれにしても一言も文句を言わずにずーっとマッサージしてくれたり、分娩時には適切な励ましやリードをしてくれたりと本当にお世話になった。
産院を選ぶときは、設備がキレイ!なんてことよりも“いい助産婦さんのいるところ”をお奨めする。

分娩衣
長めのかっぽう着というかんじ。後ろ開きで、無痛分娩の麻酔の処置などがし易くなっている。

剃毛
赤ちゃんに細菌感染するのを防いだり、会陰切開(後述)や縫合をしやすくするために行う。

浣腸
大腸と産道は隣り合っていて、腸に便がたまっていると赤ちゃんの邪魔になるので浣腸して“内容物”を出しておく。
それにしても、妊娠・出産ライフは数度に及ぶ“内診”から始まって“剃毛”“浣腸”“会陰切開”(後述)、そして大勢に見られながらの“出産”と、普段の生活においては“恥ずかしいコト”に分類される、ほとんど全てのことを経験する。
これらを乗り越えるのだからコドモを産んだ女は“怖いものナシ”状態になるのはとーぜんといえばとーぜんのことだ。
でも、大丈夫。1年くらいたてば羞恥心は8割方戻るものだ。って全部は戻らんのかーい。

グルテンミート
大豆の蛋白質を固めたもので、高たんぱく、低脂肪の食品。肉の代用品として使われることが多いようだ。
この病院は産科に限らず、全ての病院食がベジタリアンメニュー。
そういうと質素な料理を想像しがちであるが、味は大変美味しく、量も十分。また、出産後は母乳を出すためたくさんの栄養が必要ということで、おやつにアイスクリームやチーズケーキなんかも出たよ。

食事は出ない
当然の(?)ことながら、食事が出されるのは入院した本人だけ。
付添人の食事は自前で、ということになるのだが分娩が深夜におよぶと病院の食堂や売店は閉まってしまう。近くにコンビニでもあればよいのだが、そうでないところは飲物ぐらいは確保できる手段を考えておこう。まあ、ゆっくり食事できる心境じゃないかもしれないけどね。

分娩監視装置
陣痛の状態と赤ちゃんの心拍数を連続的に記録する装置。
赤ちゃんの心拍数の変化がわかるので、異常時に早めに対応ができ、この装置のお陰で分娩中の事故が激減したといわれるアリガターイ機械。

万一の事態
破水しているにもかかわらず陣痛が始まらない場合は陣痛促進剤を点滴したり、大出血を起こしたときに輸血したりする(たぶん)。

無痛分娩
脊椎骨にある硬膜外空という非常に狭いスペースがあり、そこに細いチューブをさして断続的に麻酔薬を注入して産痛を和らげる分娩方法。
この病院の目玉のひとつ。入院した人の約7割が選択するらしい。
私は始めはふつーに産むつもりでいたのだが、母親学級の説明で“痛みに耐えてこそ初めて母親になれる、みたいな神話はナンセンス”なこと、“陣痛時の疲労が少ないので出産時の体力の消耗が少なく、回復が早い”こと、“胎児に影響のない麻酔の強さと量である”こと“無痛分娩に関してパイオニア的病院であり、安全性に自信を持っている”こと“プラス2万円弱の費用でできる”こと、などを聞いてやってみた。
結果的には、助産婦さんの見込みよりお産の進みが早かったのと、半身が効きにくかったのであまり恩恵に預かった気はしないなー。でも、しないよりはマシだったのかも。
まあ麻酔の効き方やお産の進み方は人それぞれなので100%お奨めとは言えないが、極度に痛みに弱い人はやってみる価値アリ、かもしれない。

分娩室
もし事前に機会があったら見ておくと心の準備にいいかもしれない。
私は母親学級の院内見学の時に見ることができた。壁全体が薄いピンク色で明るく清潔な部屋であった。
もっともお産の時は見学してよーがいまいがここに入るしかないわけだけど。

分娩台
産院によって形はいろいろあるようだが、横になってから上体を少し起こせるような形になるのが一般的のようだ。いきむときにつかまるバーは、車のサイドブレーキのようなグリップタイプのものもある。分娩室見学のときに併せて見ておこう。

LDR
陣痛、分娩、産後の回復を一つの部屋で過ごす方法。
陣痛がひどいときに分娩室に移動しなくてよいのでラク、らしい。でも、この施設がある産院はまだそんなに多くないと思う。費用もそれなりに取ると思われる。
まあ、部屋を移動するのも気分転換になっていいよ。

酸素マスク
必要に応じて使われるのだろう。私の場合はいきみ疲れて深呼吸ができなくなり、赤ちゃんの酸素不足を心配して使ったと思われる。
これも小道具としてはなかなかドラマチックである。

会陰を切開
“会陰切開”…? なんて読むんだこりゃ。えいんせっかい?
読み方とともにその意味を知った時に、センリツしない人なんているんだろうか。
窒の出口の後ろ端から肛門までの部分を“会陰”といい、分娩のときにものすごーく伸ばされる。その伸展が不十分だと赤ちゃんがなかなか出てこられなかったり、裂けてしまったりする。(あー、今書いててもムズムズする。)そこで、赤ちゃんが出やすいようにハサミで切れ目を入れるわけだ。(考えただけでコワイでしょー!?)裂けてしまうよりもキレイに縫合でき、傷も治りやすいらしい。現在は初産の8〜9割に行なわれているそうである。
会陰切開は絶対行う病院、必要に応じて医師の判断で行う病院、基本的にはやらない病院といろいろらしいので、確認してみよう。
ちなみ、お産中は“それどころ”じゃなくて切られたのなんかわからなかった!という声をよく聞くし、わたしもそーであった。
でも、さすがに縫った後はしばらく痛いので、入院中、腰掛ける時は痔主さんの使うドーナツ座布団が手放せなかった。

後産
コドモが出たからといってお産は終わりではない。赤ちゃんが出てしばらくしてから不要になった胎盤が出てくるのだ。その時に軽い陣痛のようなものがあると聞いていたが、出産のドサクサでいつ後産したのか全然わからないうちに終わってしまった。
胎盤はデッカいレバーみたいなものらしいが見せてはくれなかった。

入院生活
出産でヘトヘトになったから入院生活はのんびりと…というワケにはいかない。
この病院は母子別室だったので、少しは楽できたのかもしれないが、それでも退院までに少しでもおかーさんになっておかなければいけないわけで、1日は結構ハードなスケジュールである。
参考までに…
5:30  起床、検温
6:00  授乳
7:00  朝食
9:00  医師の回診
10:00 授乳
12:00 昼食
15:00 面会時間(〜17:00)
17:00 夕食
17:45 授乳
18:30 面会時間(〜20:00)
21:30 授乳
22:30 消灯
という基本的な事柄の合間をぬって、各自入浴したり、赤ちゃんの沐浴講座やミルクの作り方講座、退院後の生活の仕方講座などがある。

親子そろって
誕生後、黄疸になる赤ちゃんも結構いる。多くは自然に治るが、何人かは光線治療を受けていて、親と一緒に退院できない赤ちゃんもいた。その場合、お母さんは退院後も授乳しに病院にくる。この黄疸自体はそれほど深刻なものではないらしいが、できれば親子そろって退院したいよね。